糧に込められたおもてなしの心 【天王前 友季亭】

2018.07.14

 武蔵野うどんとは東京都多摩地区~埼玉県南西部、すなわち旧武蔵国の多摩郡~入間郡に伝わるうどん。
ここ武蔵野台地は、かつての多摩川扇状地の上に火山灰が降り積もった高地であるため(関東ローム層)、土壌の透水性が高く、水田耕作に向かない反面、昔から良質な小麦の生産が盛んであった。農家では盆や正月、冠婚葬祭の人寄せなどに畑で収穫した地粉でうどんを打つ習慣があった。


180714 yuritei-12
このあたりではいまも小麦栽培が盛ん(東久留米市南町)


武蔵野うどんという呼称は伝統的なものではなく、武蔵野台地エリアで食されるうどんの総称として比較的最近、そう呼ばれるようになったと思われる。
実際、いまも地域ごとに「村山うどん」「武州うどん」「小平糧うどん」「純手打ちうどん」「糧うどん」などと称されることもある。


180714 yuritei-13
小平ふるさと村 旧神山家住宅主屋


ここで、“糧うどん”の“糧(かて)”とは何か?

――「かてうどん」は、江戸時代から武蔵村山(村山村、中藤村、三ツ木村)および周辺で食べられていた伝統食です。村山うどんに付いている「かて(糧)」とは茹でた季節の地場野菜などをうどんに添えたものです。 ~ “かて”は長ねぎや茗荷、生姜などの薬味とは異なります。村山うどんの会HPより)
――糧うどんは、コシのある冷たい盛りうどんを、温かい醤油味のつけ汁でいただきますが、旬の野菜が添えられているのが特徴。糧うどんの「糧」とは、うどんに添えて食べる旬の野菜のことで、ホウレンソウ、ナス、千切りにした大根などを茹でたものです。「糧」はネギやゴマなどの薬味ではなく、今の言葉でいえば、“トッピング(具)”という感じでしょうか。(こだいら観光まちづくり協会「フラッとNAVI 小平にこないか?」


180714 kate-11 180714 kate-12 180714 kate-13
180714 kate-15 180714 kate-14 180714 kate-16
糧いろいろ:左上から、「田舎屋」「関根屋」「宅部うどん」「小島屋」「神明庵 甚五郎」「古奈家」


糧うどんに初めて出会ったのは20年ほど前、所沢市久米のうどん屋「あづまや」で。
武蔵野うどんというものを認識していなかったころのことで、たまたま入ったうどん屋で頼んだつけ汁のうどんには、ゆでた青菜や大根が添えてあった。


180714 yuritei-17
「あづまや」跡


それは自分には意外な具材だったが、相方は「実家のうどんの食べ方と同じ」と言う。
相方の実家は、うどんどころ埼玉県加須に近い。
同じような食文化が広範に広がっていることに興味をひかれ、以降、近くのうどん屋を巡りだしたのだ。


180714 yuritei-15


「あづまや」は10数年前に代替わりし、近所に別名のそば・うどん店を開店。
その情報を目にして、何度か探してみたが一向に見つからず、自分の中ではお店を畳んだものと片づけていたが、つい最近、気まぐれに柳瀬川沿い勢揃橋北側の住宅地に入り込んだ際、不意にそのお店「天王前 友季亭」が出現した。
車道が行き止まりになるそのエリアのいちばん奥まった場所にあった。


180714 yuritei-16-2
180714 yuritei-18 180714 yuritei-19
いまは表通りからわかりやすい案内がある(あとで気づいた)


こんな間近に突然歴史があって実力も伴っていそうなお店が出現したのだから、放っておけるはずがない。
記録的猛暑ではあるが、川べりで涼しそうなイメージもあって、自転車で行ってみた。川べりも何も関係ない暑さだったけど(笑)。


180714 yuritei-28


僕らが自転車で向かう場合、八国山の東を回り込んで松が丘の住宅街を向け、吾妻橋を渡り、そのまま柳瀬川左岸沿いの細道に入り(車両通行不能)、2回曲がると突然お店が出現する。


180714 yuritei-20


これは裏からのアプローチで、あとで表通り側を見てみたら、「あづまや」店舗はまだ残っており、駐車場には「友季亭」看板もあって、あちこちにちゃんとわかりやすい案内が出ていた。
「友季亭」店舗前にも駐車場はあるがそこには住宅街の入り組んだ道を通るので、表通りの駐車場を使ったほうがよさそう。


180714 yuritei-21


店内は、右手に2人テーブル7脚ほど、いろいろ組み合わせて使われている。左が小上がり2間。
ものすごく混んでいて、なんとか空いていた入ってすぐのテーブル席に通される。


180714 yuritei-27


僕らの隣が年配女性2人組。その向こうは大家族2~3組で、同グループかな、かなりやかましい。
注文は、ここはやはり個人的原点である「あずまや」を継承する“かてもりうどん”875円。もう一品は、そばも気になるので“かも汁そば”1080円。


180714 yuritei-22
180714 yuritei-23


まず、かてもりうどん。


180714 yuritei-25


糧が豪華。キャベツ、にんじん、大根、なす、小松菜、山菜の水煮。
おまけのような糧ではなく、かてうどんの名前どおり主役のたたずまいである。


180714 yuritei-24


薬味はねぎ、大根おろし、おろししょうが。ほかにウズラの卵と天かすが付く。
うどんは少し灰色がかったよじれ麺で、武蔵野系では細めで上品な感じ。しっかり締まった食感で、小麦の香りも立つ。


180714 yuritei-26


そばも上品な細麺で、ぱつぱつした食感。甘めで濃厚なかも汁にはこの細麺では弱いかな…。
メニュー表を見直したら田舎そばというものがある。想像するに、挽きぐるみの太麺で…。かも汁はこっちじゃなかったかな?


180714 yuritei-30


一方、普通のそばにも田舎そばにも“かてもり”がある。
お店としても、そこが原点なのかもしれない。


180714 yuritei-31


武蔵野うどんはそもそも人寄せの際に振る舞われたおもてなしの料理。
品数の問題じゃないが、糧へのこだわりはそのまま素朴なもてなしの心の表れのようにも感じられる。


180714 yuritei-14


[DATA]
天王前 友季亭(ゆうきてい)
埼玉県所沢市久米1636-3



[Today's recommendation]

Respighi, Tchaikovsky Alan Gilbert and the New York Philharmonic
『Respighi, Tchaikovsky』
Alan Gilbert and the New York Philharmonic

https://www.youtube.com/watch?v=bKFRXjv2Bjs



chat180714.jpg
◆ 猫写真はこちら


スポンサーサイト

昭和から続く実力派タイ料理店 【サワディー】

2018.07.13

 お店のホームページに1986年創業とある。わが家がこの町に引っ越してくる10年前である。たしかにこの店は最初からあった。当時すでに年季が入っていた。


180713 sawasdee-18


前回と同じような書き出しでなんなんだが、てかコピペなんだが(笑)、それくらい1986という数字には強い感銘を受けているということ。
久米川駅南口のタイ料理店「サワディー」は1986年創業。


180713 sawasdee-23


1986年といえば、昭和61年。
昭和時代にタイ料理って、いまとなってはうまく認識の折り合いがつかない。
たしかに1980年代後半、最初のエスニックブームが起こった。自分自身、渋谷~代官山~恵比寿~六本木エリアなどを食べ歩いた。当時、タイ料理といえば新宿歌舞伎町の「バンタイ」(いまも人気店)


180713 sawasdee-11


しかし、昭和といえば『三丁目の夕日』と、読んだことも観たこともない作品イメージが年々増幅し、実体験を上回ってしまっている。
『三丁目の夕日』にタイ料理屋は出てこないだろう(たぶん)


180713 sawasdee-12


この「サワディー」、そんな意外なほど早くから存在し、なおかつ僕らが引っ越してきてからも20年以上、安定して営業を続けている。
東村山市という、埼玉だか東京だかわかんないが田舎には違いない土地で、それは不思議なことじゃないかと僕は思っている。


180713 sawasdee-13


古い2階建て雑居ビルの2階。
ビルの共用スペースも、年々タイ料理屋の占有度合いが進んでいる。トゥクトゥク乗り付け、とか。


180713 sawasdee-14 180713 sawasdee-15


本日、来店したのは1時を過ぎていたのに、3組くらいの先客があり、あとからも入ってきた。
しっかり常客がいる感じ。


180713 sawasdee-16


店内がゆったりしていて、各テーブルもしきりがあったりして落ち着くからか。
ランチはメイン料理にサラダとスープ、デザートまで付く。のんびりできるはずだ。


180713 sawasdee-26


注文は、これはやっぱり外せない五目やきそば(パッタイ)800円と、もう一品、相方と一緒のときはあまり頼むことはない“辛口”だけど、品書きには“少しからい”とあるのでそれなら平気か? とグリーンカレー750円。


180713 sawasdee-25


まずサラダ。
ドレッシングが甘味のあるクリームタイプで、なんとなくアジアっぽく感じる。


180713 sawasdee-27


小さなおわんに入ったスープはいつもの具だくさんな鶏スープ。
ひき肉と大根とセロリであっさりした塩味。


180713 sawasdee-19


パッタイの大きめのえびは存在感があって、砕いたピーナツがたっぷりかけてある。
レモンを搾るとスイートチリソースがベースの味にさらにエスニック感が増す。


180713 sawasdee-20


カレーの具は細切りのタケノコと鶏肉で、ココナツミルクの風味豊か。
たしかに“少しからい”というくらいの程よい辛さ。ナンプラーもたっぷり使っていそう。


180713 sawasdee-21


ココナツミルクのデザートは、タピオカにトウモロコシの粒がちらほら。
ダブル炭水化物スイーツ(笑)。


180713 sawasdee-28 180713 sawasdee-24


糖質無制限のきらいはあるが、ココナツの甘い香りとトウモロコシの甘さがよく合っている。
こういうセンスは現地の人ならではだなぁと感心する。


180713 sawasdee-17


異国的だけれど、すっかり街になじんだ景色と味。
時間が醸したものなんだと思う。


180713 sawasdee-22


[DATA]
サワディー 久米川店
東京都東村山市栄町2-21-8
http://sawasdeethai.com/


[Today's recommendation]

Lionel Richie All Night Long
Lionel Richie
『All Night Long』

https://www.youtube.com/watch?v=b_ILDFp5DGA&sns=em



chat180713.jpg
◆ 猫写真はこちら


歳月を物語るやきとんの煙 【和田屋】

2018.07.12

 東海地方在住の友人NWKさんから「東京行く」と先月末に連絡が入っていた。
7月11日、「東京来ました。明日どうでしょう?」とLINE。翌12日に会うということになり、待ち合わせ場所「5時阿佐ヶ谷駅改札付近かな?」と。
あうんの呼吸というか、この間のやりとりで阿佐ヶ谷なんてひと言も出ていない。


180712 wadaya-28


前回会ったとき、このブログの今後の展開として「高円寺阿佐ヶ谷荻窪西荻攻めるのは必定」との意見をもらった。たぶん今回はその流れというか、ブログのネタづくりに協力してくれるということかと(笑)。
NWKさんは若いころ長く阿佐ヶ谷に住んでおり、その間の2年くらい僕は駅近くの喫茶店でバイトをしている。というか、そのバイトはNWKさんに紹介してもらったもの。
阿佐ヶ谷から攻めるのは言わずもがな、なのである。


180712 wadaya-24


まずは街の散策。
駅北西の飲食店がいちばん集中しているエリア(スターロード商店街)から歩き始め、旧中杉通りを北上、中杉通りを南下して駅に戻り、南西エリアへ。ここ川端通りに僕がバイトしていた喫茶店があった。
続いて南東エリアのパールセンター、一番街とひと通り回り、あらためて「さあどうする?」となったところで、「どうしよう…」と途方に暮れる。


180712 wadaya-27


昔よく行ったお店はほとんど残っていないという。
そりゃそうだ。30年以上も昔のことだし。
まあ僕の場合、この街は人任せで生きていたので、そもそもお店覚えようって気もなかったんだけど(笑)。


180712 wadaya-23


結局、最初にチェックしたスターロードの居酒屋「和田屋」へ。
1979年創業。
NWKさんはそのオープン初日に入ったという。それだけで、ネタ的には十分です(笑)。


180712 wadaya-25


あとで調べると、大衆割烹「和田屋」は1920年創業の麻布十番「食堂和田屋」(2005年閉店)の暖簾分けグループで、都内に7店現存するという。
――新潟出身の高橋敏則さん、洋子さん夫妻が昭和54年から暖簾を構える大衆割烹。最近は息子の清太さんも加わって、親子3人、息の合った営業を続ける、阿佐谷でも知る人ぞ知るアットホームなお店だ。スターロードHPより)


180712 wadaya-19


奥に細長い店内は、左手がカウンター席、右に4人掛けテーブルが4つ並ぶ。
2階は座敷席になっているもよう。


180712 wadaya-11 180712 wadaya-12


いちばん手前のテーブル席に着き、まずビールはサッポロ黒ラベル。
アテは枝豆と味噌キュー。
枝豆は味が濃く明らかにゆでたて。キュウリは驚くことにブルームタイプで、シャクシャクと旬の食感を楽しめる。


180712 wadaya-13


カウンターに並ぶ大皿から、ナスのゴマあえを頼む。
ナスの中まで甘いゴマダレがしっかり染みておいしい。


180712 wadaya-17


大皿はほかに肉じゃがや酢豚、切りコンブとなんか(忘れた)の炊き合わせ… と、いたって素朴で家庭的。
この大皿惣菜はよく出ていて、どんどん減っていくが、いつの間にか補充されている。


180712 wadaya-18


酒は日本酒、まずは酔鯨に。
お銚子かと思ったら升酒だったので、酔鯨追加。


180712 wadaya-26


こちらの名物はやきとんのようなので、そこは外せないなと。
レバ(タレ)、タン、カシラ(塩)各2串注文。


180712 wadaya-16 180712 wadaya-15


店内に独特のにおいが漂う。
「何ですかね、これ。クサヤ?」
「なんやろ? オレらのやきとんと違うか?」
周囲の注文状況を見れば、そうとしか考えられない。


180712 wadaya-14


「いいにおいだねぇー」とカウンターのじいさん。「これだけで酒が飲めちゃう」
うなぎのタレじゃないが、コンロの周りに長年つぎ足しつぎ足しに滴る焼きダレの発酵が進み… というような。
これは40年近い年季そのもののにおいかな。


180712 wadaya-20
「いいにおいだねぇ」


「あんまりいいにおいって言ってたら料金とられちゃう。気い付けなくちゃな(笑)」とじいさん。
落語ネタを地でいってる。


180712 wadaya-22


浦霞、久保田と、さらにもう一杯飲んだ気がする。
NWKさんとは酒量・ペースが違うので、そのへんでうまく周回を合わせないと「もう一杯」となってしまう。
なってしまってたのかな…? 2周リードくらいに。

それでお勘定6200円。
時代が周回遅れくらいという良心価格かな。


180712 wadaya-21


[DATA]
和田屋
東京都杉並区阿佐谷北2-12-22
http://www.starroad.tokyo/shop/wadaya/



[Today's recommendation]

Chic Risque
Chic
『Risqué』

https://www.youtube.com/watch?v=eKl6EZShaaw



chat180712.jpg
◆ 猫写真はこちら


暑い夏、しょっぱいラーメン 【狩勝】

2018.07.10

 自転車を主要交通手段にしていると夏場は当然、行動範囲が狭まってくる。日差しがキツイので、自然と日陰に逃げ込むようなコース取りになる。
樹木が多く日差しを遮ってくれるのが水路沿いの道。
・玉川上水
・野火止用水
・落合川
・羽村村山線導水路
・村山境線導水路

村山境線とは、村山貯水池(多摩湖)から境浄水場(武蔵野市)へ通水する水路で、暗渠の上は歩行者・自転車用に整備されている。「多摩湖自転車歩行者道」といったほうが話が早い。


180710 karikachi-21 180710 karikachi-22 180710 karikachi-25
自宅非冷房エリア(階段)の温度計(7月10日13時40分)、猫くたばる


多摩湖自転車歩行者道を萩山方面から小平駅に向かうと、萩山神社を過ぎたあたりで木立が途切れカンカン照りになる。
その日差し、今日のはただ事じゃない(最寄りのアメダス 練馬観測所で35.4℃と今夏初の猛暑日を記録)
例年なら梅雨の真っただ中なので、この南中高度の高い太陽光の照射をまともに受けることに日本人は慣れていない。
加えて、このあたりも年々緑が減っていることと、こっちの体力が年々衰えていっていることと。
小平駅の手前で引き返した。


180710 karikachi-20


帰路、買い物を思い出して久米川のりそな銀行横の駐輪場に止めロータリー脇を西友のほうに歩いていて、ふと「狩勝」の塩ラーメンが食べたくなった。この先を右に曲がって100mのところに狩勝はある。
こういう場合、ここの塩ラーメンは誘引性が強い。


180710 karikachi-17


夏になるとタンメンが食べたくなる、というようなことをときどき書いている。
最近では吉祥寺「みんみん」の記事がそうだが、みんみんの塩ラーメン同様、狩勝のしおラーメンも僕の中ではタンメン扱いなのである。


180710 karikachi-12


“押してください”のタッチスイッチの上に“手で開けてください”の紙が貼ってある壊れた自動ドアを手で開ける。
「あら、見たことある顔だ♪」と、お店のおかあさん。
いつもどおり明るく朗らか。
前回、いろいろお話を聞いたのがちょうど半年前。ちょっと空きすぎかな…。


180710 karikachi-15


こちらは月替わり? くらいのペースでローテーションしている値下げサービスがあって、壁の品書きの短冊に黄色い付箋の貼ってある品がそう。


180710 karikachi-14


ラッキーなことに現在のサービス品はたまたましおラーメンで、通常500円のところ450円。
ただでさえ激安設定のところさらに値引きではあまりに申し訳ないので、一緒に餃子300円も注文。

食堂奥のいすに座っていたおとうさんが勢いよく厨房に入ったと思ったら、すぐに中華鍋を振る音が聞こえてきた。
なんか気合入ってる(笑)。


180710 karikachi-18


しおラーメン、わずか3分で完成。
気合の鍋振りそのままに、野菜がいつにもましてシャキシャキ。まさにタンメンそのもの。
炒め野菜はハクサイ、キャベツ、モヤシ、ニンジン、ニラ。トッピングにメンマと白ゴマ。


180710 karikachi-24


野菜シャキシャキの分、スープはいつもよりあっさりで、塩気がストレートにくる。
塩分強めが夏っぽい。食べ進むうちに野菜のうま味がスープに入ってくる。
細めのストレート麺は伸びやすいので、食べるピッチも速くなる。汗が噴き出す。


180710 karikachi-16


餃子は小ぶりだが、あんがしっかり詰まって食べでがある。
野菜の甘味たっぷり。形はかわいらしいが、ニンニクのパンチが効いている。


180710 karikachi-13


前回お話を伺ったとき、体力の問題で炒め物は厳しく、比較的楽なのが揚げ物とのことだったので、次回は鳥の唐あげかトンカツと決めていたが、結局いつものローテーションどおりになってしまった。
この次こそ揚げ物… と思って品書きの写真を見直していたら、唐あげが見当たらない。
食の安全の観点から夏場お休み… ということだと思いたいが…。
でも唐あげやめたらやめたで、まだミックスフライもやき肉も目玉やきもカツカレーもありますから。


180710 karikachi-11


[DATA]
狩勝(かりかち)
東京都東村山市栄町2-7-1



[Today's recommendation]

James Bay - Chaos And The Calm
James Bay
『Chaos And The Calm』

https://www.youtube.com/watch?v=mqiH0ZSkM9I



chat180710.jpg
◆ 猫写真はこちら


人気の市場食堂、リニューアル 【太丸食堂】

2018.07.09

 この5年ほど、主な仕事は月の前半に集中してしまっているので、今週ぐらいがいちばん忙しくなりそう。週明け早々なんだか慌ただしい。
昼ごはんにさまよってるヒマはないので、珍しく出る前からお店を決めておいた。
近場で、なるべく日陰伝いに行けるということで、東久留米卸売市場(得得市場)内の食堂。


180709 daimarusyokudo-24 180709 daimarusyokudo-25
ノカンゾウ(野火止用水 / 東村山市恩多町)


ところが午前中にこまごました仕事が次々に入ってタイミングがつかめず、家を出たのは12時半を大きく回ってから。
市場の食堂は朝早くから開いているが閉まるのも早い。
1時までもやっていなかったかもしれない、と焦って自転車こぎこぎ。


180709 daimarusyokudo-23


「市場のおばちゃん食堂」の看板の下に、遠くからでも目につく手書きの“営業中”の黄色い紙。


180709 daimarusyokudo-11


やれやれ… と、ちょっと気持ちの余裕が生まれ、向かいの駐輪場に止めてお店の外観写真を撮り、看板やメニュー写真などをもたもた撮影したのちお店に入り、中央の4人掛けテーブル席に座ってふと振り返ると、おばちゃんが“営業中”の立て看板を店内に撤収してる。
あ、危なかった…。
品書きに書いてある営業時間を見ると、ラストオーダー13:00と。


180709 daimarusyokudo-21


お店の看板は「市場のおばちゃん食堂」のままだが、こちらは6月に店名を「太丸食堂」に改称、リニューアルオープンしている。
その後何度か市場で買い物をしているので、それとなく様子をうかがっていたが、名前だけでなくメニュー内容も大きく変わった。
市場だけに新鮮な魚介がウリだった「おばちゃん食堂」に対し、「太丸食堂」はそば、うどん、カレー… と簡易で、より施設内食堂っぽくなった。


180709 daimarusyokudo-18


この食堂は、市場内の隣接するのり・茶・和菓子販売の「のりの太丸」の系列店。
食堂を縮小する形でやはり系列のおにぎり・弁当販売「魚沼の庄」が移転してきて1拠点3業態体制になったのが今年2月、そして今回の食堂リニューアルと、ここにきて出店戦略が大きな展開を見せている。


180709 daimarusyokudo-12


先日「魚沼の庄」で呼び込みをしていた会社上層部っぽい? 若めのおばちゃんが食堂の厨房を取り仕切っており(店長と呼ばれている)、トップダウンによるコーポレートガバナンスの強化といったニュアンスを感じなくもない。


180709 daimarusyokudo-16


注文は熟成とんかつのかつカレー750円。
「かつを揚げるのに15分くらいかかりますが、よろしいですか?」と店長のおばちゃん。
“肉厚のとんかつを使用しておりますので調理にお時間がかかります”と品書きにも書いてある。
ラストオーダーでちょっと悪いかなと思ったが、リニューアルでいちばん大きく変わったのがたぶんカレー導入であり、今日はそのために来たようなところもあるのでお願いする。


180709 daimarusyokudo-14 180709 daimarusyokudo-15


15分後――
カレーがやって来るのと同時におばちゃんが入ってきた。
「お弁当かなにかできるかしら?」と。
1時ラストオーダーでもう終わっちゃいました、というお店サイドの説明に明確に理解を示しつつも、お客のおばちゃん、独白なのか要求なのか、ずっと話し続けている。
お店のおばちゃん2名も、戸惑いの色を隠さずも親身に耳を傾ける。


180709 daimarusyokudo-13


――近くの老人ホームの父親の面会に来て、昼ごはんを一緒に食べようと思ったが、90歳の父を連れ出すわけにもいかず弁当を買いに来た。以前も同じようなことがあったが、市場の店はどこも閉まっていて、この先のコンビニはそれはもう遠くて…
「でしたら、おかかのおにぎりくらいならお作りできますよ」と店長おばちゃん、決断を下す。
「それは助かるわ」とお客おばちゃん。
「おかか、残ってるよね?」と店長、年かさの店員おばちゃんに確認。
「そしたら、おかかと、梅と、しゃけと…」とお客おばちゃん、攻めどころを逃さない。


180709 daimarusyokudo-19
このように出てきた。普通逆向きだと思うが、そのへんまだ慣れていないもよう


えーと… かつカレー、おいしかったです(笑)。メニュー表の説明どおり。
――玉ねぎをじっくり炒めて、深みとコクを出したビーフカレー。ご飯は魚沼産コシヒカリを使用♪ 肉厚でジューシーな熟成とんかつとの相性ばっちり! プロのお味! 絶品かつカレーをぜひおたのしみください!


180709 daimarusyokudo-20


お客おばちゃんがケータイでご家族あたりに経緯を説明している。
「いま、おにぎり作ってもらってるから。ええ、そうなの。88歳を連れ出すわけにはいかないって言って、無理やりお願いして」
2歳、サバ読んでたらしい(笑)。

それにしても、効率優先の改革途上にあるとみていたこちらのお店、非マニュアル的で臨機応変な素晴らしい対応を見せていただいた。


180709 daimarusyokudo-22


[DATA]
太丸(だいまる)食堂
東京都東久留米市下里5-12-12 東久留米卸売市場
http://ibeam.sakura.ne.jp/tokutoku/?page_id=885



[Today's recommendation]

Katy Perry Prism
Katy Perry
『Prism 』

https://www.youtube.com/watch?v=CevxZvSJLk8



chat180709.jpg
◆ 猫写真はこちら


洋館喫茶で懐かしのスパ&ドリア 【るぽ】

2018.07.08

 清瀬市内の志木街道には変則交差点(食い違い十字路)が多く残されている。R254と小金井街道の間の区間は普通の十字路はないというぐらい、交差点はことごとく変則。いまは渋滞緩和や安全対策のため、変則路の多くは通りやすいようにつくり替えられているので、このルートを走っていると懐かしいような感覚にとらわれる。


180708 repo-14


なぜ昔の交差点が十字でなく食い違っているかというと、城下町のかぎ道は敵の侵攻スピードをそぐためといわれるが、街道の場合は優先関係だという。馬同士の衝突を避けるため、一方がおのずと減速するようT字形にするという先人の知恵。


180708 repo-31 180708 repo-32 180708 repo-33
ヤブカンゾウ(左、野火止用水 / 埼玉県新座市新堀)、ヒメヤブラン、ヤマユリ(中・右、多摩北部医療センター)


変則交差点の角に、忽然と趣のある洋館が出現する。
喫茶店「るぽ」は、古いドイツの町並みに溶け込みそうな三角屋根のレンガ造り一軒家。
ケヤキ並木に、この部分だけ異質な溶け込み方をしている。


180708 repo-13


日枝神社や長命寺が並び日本的歴史を感じさせる志木街道にあって、ここだけメルヘン街道、ここだけロマンチック街道。行ったことないけど。
多摩地区でいえば、五日市街道沿いの「くすの樹」、国道16号八王子鑓水の「パペルブルグ」などが近い存在かもしれない。どっちも入ったことないけど。


180708 repo-12


ちなみにこちら、仮面ライダーシリーズのロケ地だったそうだ。
――仮面ライダークウガ(2000年)―主人公・五代雄介が居候していた喫茶店ポレポレは外観のみ、市内に実在する喫茶「るぽ」で実際に撮影を行っており、主演のオダギリジョーも撮影に訪れたことがある。(Wikipedia「清瀬市」)


180708 repo-19


日曜日の正午。
人気があるらしいことは知っていたが、さすがにこのロケーションで人出が多いのには驚かされる。とはいえ収容人数は多くまだ5割ほどの入りで、「お好きな席へ」と。
左列テーブルのいちばん奥へ。客入りはいいが、やっぱり平均年齢は高い。


180708 repo-22 180708 repo-23


1階客席スペースは吹き抜け。入り口右手の階段が気になったが、1階奥から見ると厨房上がロフト風2階席になっている。
レンガの内壁、ステンドグラス、アンティーク調ランプ、ピンク電話の電話ボックス… と、重厚感&レトロな雰囲気に包まれる。
2階席もどんどん埋まっていった。
スタッフは、カウンター中の年配女性のほか、若いウェイトレスが確認できるだけで3名。


180708 repo-15


注文は、カレードリア(単品)900円と、ミートソーススパゲティ(サラダ・スープ・コーヒーセット)1200円。(←たぶん)


180708 repo-16


さて、こちらはメニュー表の判読が難解である。簡単にいうと、箇条書きと並列表記と⦿(ナカグロ)の使い分けがビミョー。
たとえばわれわれの注文の品で見てみると、メニュー表の“エビドリア・カレードリア”の⦿は“または”かなぁ…と思うが、“和風ベイクド・ミートソース”の⦿も同様とすると、和風ベイクドって何…? となる。
もっと混乱することに、カレードリアと頼んだ料理にはエビがたっぷり。もしかして“エビドリア・カレードリア”というたべものだったのではないかと…。


180708 repo-11


ミートソースがかかった麺は、“パスタ”ではな“スパゲティ”と呼びたい。
ソースは、PポロとかMマーみたいな…? 誰もが食べたと思われる昭和な味。
そこに粉チーズとタバスコをふったら…、これこそ喫茶店の味わい。あばずれの食いもん… はナポリタンか。


180708 repo-21


カレードリア。
ドリアっていま、どこに行ったんだろう。ひと口食べれば、若いころ憧れた味そのものだった。
こちらのカレーソース、PやMっぽいミートソースと同系統の味。
僕らの世代は必ずや満足いくであろう、王道喫茶店メシである。


180708 repo-18


これだけの施設・スタッフを維持するのは容易ではないだろうから、オーナーは相当な資産家と推測される。
「るぽ」がreportageのルポだとすれば、オーナーは新聞王、メディア王かもしれない。
――清瀬のメディア王
でっかいんだかちっちゃいんだか、平衡感覚がグラグラ。
って、そんなわけないだろう(笑)。


180708 repo-17


[DATA]
るぽ
東京都清瀬市中清戸5-201



[Today's recommendation]

coldcut whats that noise
Coldcut
『What's that noise?』

https://www.youtube.com/watch?v=MOKGILEUpic



chat180708.jpg
◆ 猫写真はこちら


三直? 的 謎のフル稼働型居酒屋 【お食事処ぷち】

2018.07.07

 7月7日は五節句の一つ、七夕(しちせき)の節句。節句料理は素麺。ということにあとで気づいたので(日にち感覚がない)、昼ごはんにソーメンを食べたわけではない。
本日はイベント的にもう一つ、サッカーワールドカップが準々決勝に進み、戦いもいよいよ佳境に入った。
ということで、昼ごはんに久米川駅近くにある知る人ぞ知るスポーツバーへ。


180707 puchi-28
知る人ぞ知るスポーツバー…?


というのは冗談で…(サーセン <(_ _)>)
久米川のさくら通り沿いの「お食事処ぷち」。


180707 puchi-27


お店の名前は知らなくとも、FC東京のポスターやユニフォームが飾ってある… と聞いたらピンとくる人も地元には多いかと思う。
「ぷち」はスポーツバーではなく、FC東京推しの強い居酒屋。
FC東京小平グラウンドに近いこのエリアに点在する、FCの選手が訪れるお店の一つとして知られる。


180707 puchi-12


とりあえず“居酒屋”と書いたが、ひと言では言い表せない営業スタイルがこのお店のいちばんの特徴。
なにしろ営業時間がすごい。


180707 puchi-14 180707 puchi-15


店先に張ってある各種掲示物から営業時間情報をピックアップすると…

・朝定食:6時から10時
・ランチ:午前11時半から
・居酒屋:情報見つからず


180707 puchi-18


メニュー構成を見れば居酒屋が主であることは明らかであり、その時間を推定で補完すれば、いつ休んでるんだ? と、通りすがりにも気にかけずにはいられない。
だいたい朝6時から!? というのが驚きであり、だったら居酒屋営業も夜通しなんじゃないだろうか…? と。
お店の人、大丈夫か? でも長いことこのスタイルでやってきているのだ。


180707 puchi-17


11時40分の入店でお客さんはなし。
お店のつくりが変わっていて、中央に番台のような支払いカウンターがあり、番台から見て右側面と正面にテーブル4卓ほど、左が小上がりになっている。


180707 puchi-21


正面テーブルに通される。
注文は、から揚げ定食とひとくちカツ定食、ともに890円(税別)。


180707 puchi-16


実はこれまでこのお店に入っていなかったのは、ランチの価格に違和感があったから。
ビミョーに高い。
もっときっぱり高いほうがワンランク上ということで折り合いもつくかもしれない、という微妙な設定である。


180707 puchi-19 180707 puchi-20


運ばれてきた定食を見て、コスパ問題も納得がいった。


180707 puchi-22


手づくり感いっぱいの副菜が充実している。
ハクサイとキュウリの漬物も自家製。ご飯に黒ゴマぱらぱら、という感じで細かいところにひと手間かけてある感じが伝わってくる。


180707 puchi-26


おもしろいのが小鉢の春雨サラダならぬ、これはフォーかな。
イカゲソ、カニカマ、キュウリ、ニンジン、コーン、ワカメ、白ゴマと具だくさん。


180707 puchi-25


数えてみたら、定食全体で食材は20種類ほどにも及ぶ(米、しょうゆ・みそ等調味料を除いて)。
飲み屋の片手間程度のランチとみていた自分が恥ずかしい。


180707 puchi-23


結局、僕らのほかにお客さんはなかったが、お店には店主ご夫婦のお孫さん(小学校低学年以下の女子3名)がいてにぎやかだった。僕はそういう状況が得意ではない。が…


180707 puchi-24


店主がしつけのために孫を叱っている。大まじめに怖いおじいさんを演じ、本人は演じきってると信じているんだが、はたで見ていてもちっとも怖くない。本人以外に怖いと思っている人は1人もいない。
こういうのは持って生まれた人柄以外のなにものでもないし、この店はそれで支えられているんだろうなと思った。


180707 puchi-13


[DATA]
お食事処ぷち
東京都東村山市栄町2-25-23



[Today's recommendation]

Zouzou Petit Garçon
Zouzou
『Petit Garçon』

https://www.youtube.com/watch?v=YRmCj8pAttA



chat0180707.jpg
◆ 猫写真はこちら


Latest Articles
糧に込められたおもてなしの心 【天王前 友季亭】 Jul 17, 2018
昭和から続く実力派タイ料理店 【サワディー】 Jul 15, 2018
歳月を物語るやきとんの煙 【和田屋】 Jul 14, 2018
暑い夏、しょっぱいラーメン 【狩勝】 Jul 13, 2018
人気の市場食堂、リニューアル 【太丸食堂】 Jul 11, 2018
洋館喫茶で懐かしのスパ&ドリア 【るぽ】 Jul 10, 2018
三直? 的 謎のフル稼働型居酒屋 【お食事処ぷち】 Jul 08, 2018
意外な女子力? が光る東京とんこつ 【東京とんこつラーメン龍 小平店】 Jul 07, 2018
ケーキ屋さんの本格&ヘルシーカレーランチ 【菓子工房pure】 Jul 06, 2018
197X年の… 【蝦夷】 Jul 04, 2018
Category
Ranking
ブログランキング・にほんブログ村へ

Category-2